大腸ポリープ切除

大腸ポリープ切除
監修者 大圃 研

監修者
大圃 研

資格

  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医・関東支部評議員
  • 日本消化管学会 胃腸科専門医

所属学会

大腸ポリープ切除術は、内視鏡検査中に同時に行う日帰り手術であり、大腸がんを予防する最も効果的な手段です。多くの大腸がんは良性ポリープががん化したものなので、ポリープの段階で切除することで、がんの発症を未然に防ぎ、大腸がんによる死亡率を低下させることができます。切除は検査・処置が一度で済み、入院の必要がないケースがほとんどです。

大圃クリニックの

大腸ポリープ切除の特徴

  • 日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医の資格をもつ医師が担当
  • 日帰り手術にも対応
  • 土曜日も検査・対応可能

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸粘膜の一部が隆起または陥没して形成される「いぼ」のような病変で、1mmから数cmと大きさはさまざまです。非腫瘍性(炎症性・過形成性)と、がん化の前段階となる腫瘍性(主に腺腫)があり、腫瘍性ポリープは経時的にがんへ進行することが多いため「前がん病変」とされます 。
特に腺腫は大腸がんの主要な原因であり、初期段階で切除すればがんを未然に防げるとされています 。

また、ポリープは小さいうちは無症状で、便潜血検査でも見つけにくいため、大腸内視鏡検査が重要な検査手段です。

大腸ポリープのサイン

大腸ポリープは多くの場合自覚症状がなく、便潜血検査や大腸内視鏡検査で偶然見つかることが一般的です。ただし、大きくなると血便、腹部鈍痛や膨満感、排便異常(便が細くなる、便秘・下痢の繰り返し)、慢性的な出血による貧血、さらには体重減少や粘液状便などが現れることがあります。これらのサインがある場合、大腸内視鏡検査による精密評価が特に重要です。

大腸ポリープの主なサイン・兆候は以下のとおりです。

  • 症状・サインが無い
    多くは自覚症状がなく、健康診断や便潜血検査で発見されることが多い
  • 血便(鮮血便・暗赤色便など)
    腸粘膜の血管が損傷されることによるサイン
  • 腹部不快感や鈍痛・腹部膨満感
    大きなポリープが腸管を部分的に塞ぐことで起こることがある
  • 排便習慣の乱れ
    便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す
  • 貧血(慢性的な少量出血による)
    疲労感・息切れ・顔色不良など
  • 体重減少・食欲低下
    まれにポリープが腸機能に影響することで出現
  • 粘液性透明下痢便
    大きなポリープ(絨毛腺腫など)が直腸にできると見られるまれな症状

良性と悪性ポリープの違い

良性の腺腫性ポリープは粘膜にとどまり、比較的ゆっくり成長するものの、がん化の前段階であるため切除が推奨されます。悪性ポリープ(大腸がん)は浸潤や転移のリスクがあり、形状が不整で成長も早いため、早期発見と治療が重要です。

項目良性ポリープ(腺腫など)悪性ポリープ(大腸がん)
浸潤・転移なしあり
増殖の速度比較的遅い比較的速い
症状多くは無症状場合により出血、腹痛、狭窄など
内視鏡所見表面整、形:滑らか、小型が多い表面不整、形いびつ、出血傾向
組織診断
(確定)
腺腫と判定、がん化リスクありがんと判定、浸潤度や転移評価重要
治療内視鏡切除による予防的治療が可能内視鏡+外科的処置が必要な場合あり

大腸ポリープができる原因

大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる盛り上がった「できもの」です。隆起性病変の総称APCや修復遺伝子の変異による遺伝的素因を背景に、高齢化や高脂肪・低繊維食、喫煙・飲酒・肥満・運動不足といった生活習慣、さらには慢性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)などが複合的に影響して発生するとされています。特に40歳以上や家族歴がある方は、定期的な検査での早期発見が重要です。

APCとは

APCとは大腸の「家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis: FAP)」の原因遺伝子である「APC遺伝子」を指します。APC遺伝子は、がん抑制遺伝子の一つで、細胞の増殖や分化を制御する役割を持っています。家族性大腸腺腫症(FAP)は、APC遺伝子の病的変異が原因で発症する遺伝性疾患です。

大腸ポリープの検査方法

大腸ポリープの検査方法

大腸ポリープの検査は、まず便潜血検査でスクリーニング**を行い、陽性時や症状のある場合は大腸内視鏡での精密観察へ進みます。当院の内視鏡システムでは、患者さんの苦痛を軽減しながら、粘膜の異変を詳細に確認が可能です。異常所見があれば組織採取による確定診断と、検査中のポリープ切除を同時に行えることも大きな特徴です。

大腸ポリープ検査の主な方法は以下のとおりです。

1.便潜血検査(スクリーニング)
2日法などで便中の微量出血を調べる簡便な検査です。
便潜血が陽性なら、その後の精密検査として大腸内視鏡検査が必須となります。

便潜血検査(スクリーニング) 2日法とは

便潜血検査(スクリーニング)の2日法とは、大腸がんなどの病気による出血を検出するため、2日間で便を採取して検査する方法です。1回の検査では見逃す可能性があるため、連続した2日間の便からそれぞれ採取し、どちらかでも出血が検出されれば陽性と判定されます。

2.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による観察・診断
肛門から直腸→結腸→盲腸までスコープを挿入し、粘膜を直接観察できる方法です。高性能カメラ・拡大・特殊光(NBIなど)により微細なポリープや粘膜血管を確認可能です。
鎮静剤・炭酸ガス送気や無送気挿入法により、苦痛や腹部の張りを軽減できます。

3.生検による組織診断
発見された病変(ポリープ含む)から組織を採取し、がん・良性病変を確定診断します。

4.その場でのポリープ切除(当日治療)
検査中に発見されたポリープはスネアやコールドポリペクトミーなどでその場で切除します。出血・穿孔リスクが低く、日帰りが可能です。

大腸ポリープは大腸カメラによって早期発見できます

大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は、微小なポリープや見逃されがちな病変を直接観察し、特殊光や高解像度技術を用いて検出精度を高めることができます。無症状期のポリープも早期に発見・切除できるため、大腸がんの発症や進行を未然に防ぐ上で非常に有効です。さらにその場での切除・組織診断により迅速な対応と予防が可能であり、定期検査の実施が推奨されます。

大腸ポリープの切除について

大腸ポリープの切除について

大腸ポリープは内視鏡によりその場で切除でき、切除方法はポリープの大きさ・形状・位置により選ばれます。
ポリペクトミーやコールドポリペクトミー、EMR(内視鏡的粘膜切除術)、)などがあり、小さな病変であれば、簡単で安全性の高い手法で対応可能です。基本的に日帰り手術ですが、帰宅後は安静や生活制限が必要です。

術後は定期検査と生活習慣の改善により再発防止と大腸がん予防につなげていきます。

大腸ポリープ切除は日帰りで行えます

大腸ポリープの多くは、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と同じ日にその場で切除が可能で、入院を必要としない日帰り手術として行えます。鎮静剤を使用して苦痛を軽減し、切除後は数時間院内で安静をとったうえで帰宅できる仕組みです。体への負担が少なく、仕事や生活への影響も最小限に抑えられるのが大きな利点です。

ただし切除後1日~1週間程度は出血などのリスクがあるため、安静や生活の制限があります。

切除方法

大腸ポリープ切除には主に4つの方法があります。最も基本的なのがスネアで切除するポリペクトミーで、小さな病変には電流を使わないコールドポリペクトミーが安全性の高い選択肢です。一方、中〜大型や平坦型の病変では、粘膜下に液体を注入して持ち上げ、高周波スネアで切除するEMR(内視鏡的粘膜切除術)が用いられます。

これらはいずれも日帰りで行えることが多く、大腸がん予防に有効です。

ポリペクトミー

コールドポリペクトミー

ポリペクトミーは、大腸内視鏡を用いてポリープをワイヤー状のスネアで切除する基本的な治療法です。
スネアを用いてポリープを締め付けて焼き切る方法です。内視鏡スコープの先にあるスネアでポリープを締め付けた後、高周波電流で焼き切ります。

切除の際の出血を抑えながら焼き切る方法ですが、術後の出血や穿孔が起こる可能性もあるため、安全と判断された場合のみ用いられる手法です。

コールドポリペクトミー

ポリペクトミー

コールドポリペクトミーとは、高周波電流のような熱を加えずに切除する方法をいいます。
コールドポリペクトミーの適応は、大きさ10mm未満の小さな腫瘍性ポリープです。10mm以上のポリープは、遺残や出血などの危険性が高くなるため、高周波電流を流して切除します。10mm未満であっても、形態・性質・部位等でコールドポリペクトミーの適応にならないものもあります。

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMR(内視鏡的粘膜切除術)

EMR(内視鏡的粘膜切除術)は、胃や大腸などの粘膜にできたポリープや早期がんを、内視鏡で切除する治療法です。粘膜の下に液体を注入して病変を隆起させ、金属製の輪(スネア)で病変を挟んで高周波電流で焼き切ります。開腹手術に比べて患者への負担が少なく、回復も早いのが特徴です。

平坦なポリープの場合、スネアを引っかけられないため、ポリープの下に生理食塩水を注入することでポリープを持ち上げます。盛り上がったポリープにスネアを引っかけて、高周波電流で焼き切ります。

大腸ポリープ切除の後の注意点

ポリープ切除後の出血や合併症を防ぐために、切除後には食事や運動に関していくつかの制限があります。
切除法によっては1日から1週間程度の制限があるため、大腸カメラ検査を受ける日はイベントや長距離移動がないタイミングでご予約されることをお勧めします。
なお、患者さんの状態や術後の経過によって、制限の期間は異なる場合があります。

ご帰宅後の過ごし方

切除手術当日は、安静に過ごしてください。また、以下の点に注意してください。

入浴

切除日当日はシャワーのみで、湯船に入浴できるのは切除翌日からです。サウナや長湯などはしばらくの間お控えください。

食事

食事

切除当日は、消化のよい食事を心がけ、高脂肪食や刺激の強い食品は避けてください。

飲酒

飲酒

医師の許可が下りるまでは飲酒は厳禁です。

運動

腹圧を上げてしまう運動は厳禁です。多くの運動は腹圧を高めてしまうので、切除から1週間程度は運動をお控えください。運動の再開についても医師と相談しながら、許可が出たら再開してください。

出張・旅行

長距離移動が伴う旅行や出張は、切除後1週間程は控えてください。また、長時間の運転や気圧が変わる飛行機での移動も身体に負荷がかかるため厳禁です。旅先で出血が起きた場合に、適切な処置を受けられないことがあるため注意が必要です。

大腸ポリープ切除費用

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)+ポリープ切除

1割6,000円~11,000円
2割12,000円~22,000円
3割18,000円~33,000円
※使用する薬剤の種類によって費用は前後いたします。
※診察代は含まれておりません。

よくある質問

Q
検査でポリープが見つかったら、どのような対応になるのでしょうか?

A

ほとんどの大腸ポリープは大腸内視鏡検査(大腸カメラ)中に切除することができます。
内視鏡での切除法は、主に「ポリペクトミー」「コールドポリペクトミー」「EMR(内視鏡的粘膜切除術)」の方法があります。ただし、特にポリープが大きい場合や、出血の危険性が高い場合などは、病院での治療をご紹介する場合もあります。

切除したポリープは回収し、顕微鏡検査によって種類を診断し、その後の治療方針の参考にします。ポリープが大腸がんであった場合は、顕微鏡検査の結果によっては、追加治療が必要な場合もあります。

Q
ポリープ切除後に生活で注意することはありますか?

A

内視鏡治療の術後合併症として切除した部分から出血したり、穿孔といって腸に穴があいたりすることがあります。実際には、少量の出血がみられることがありますが、穿孔することはほとんどありません。ただし、ポリープの形状・大きさによっては、合併症を予防するために、ポリープ切除後およそ1日から1週間程度はアルコールや腹圧のかかる運動は避けていただく場合があります。

Q
大腸にポリープがあると言われました。取らなくてもいいのでしょうか?

A

大腸ポリープには将来、大腸がんになる可能性のあるポリープと、大腸がんにはならないポリープとがあります。がんにならないポリープはそこにあるだけ病的な意義はありません。無理に治療をする必要はありません。

出血などの症状を引き起こす場合には切除することもありますが、多くの場合、そのままにしても患者さんの健康を損なうことはありません。がん化するリスクのある腫瘍性ポリープ(腺腫など)は、大きくなる前に切除しておくことが大腸がん予防につながるため推奨されます。ポリープの性質や大きさによって切除の要否は異なるため、最終的な判断は内視鏡検査を行う医師と相談して決めることが大切です。

大圃クリニックの

ポリープ切除

大圃クリニックのポリープ切除

地域に寄り添い、79年。

専門医複数名在籍

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在籍

下館駅から徒歩4分駐車場完備

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駐車場完備

土曜日12:30まで診療

土曜日
12:30まで診療

  • 日本消化器外科学会 認定医,日本外科学会 認定医,日本医師会 認定産業医,日本医師会 認定健康スポーツ医 大圃 弘
  • 日本外科学会 外科認定医,日本外科学会 認定登録医,日本医師会 認定産業医 大関 美穂
  • 日本内科学会 認定内科医 大圃 研,根岸 良充,伊藤 洋平

茨城県筑西市にある大圃クリニックは、内科認定医・内視鏡専門医在籍。お腹の痛みが胃や腸に関連していると思われる場合や、内視鏡検査をご検討の方はお気軽にご相談ください。

下館駅北口から徒歩4分で駐車場15台完備。土曜日診療可能。

患者さんの症状に応じてX線検査、腹部超音波検査、内視鏡検査など適切な検査と最適な治療を提供しております。

0296-21-0123 [午前]9:30~12:30[午後]14:30~18:00 [休診日]木曜、土曜午後、日曜、祝日
記事の執筆・監修者プロフィール
大圃クリニック

医師

大圃 研

高校生まで筑西の地で育ち、20年以上内視鏡治療に従事して参りました。
内視鏡検査は継続がすることが重要です。患者様にとって負担の大きな検査ですので、敬遠されることもありますが、早期発見・早期治療には欠かせない検査です。


患者様がトラウマを抱かず、継続して検査していただけるように、苦痛の少ない内視鏡検査に最善を尽くします。内視鏡検査や胃腸のトラブルなど、お悩み事は遠慮なくお聞かせください。

資格

  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医・関東支部評議員
  • 日本消化管学会 胃腸科専門医

所属学会